茶葉と食材や乾物などの交易が盛んで、国際貿易のとなっていた大稲埕は、1895 年、台湾が日本統治時代になってから、更に多様的に発展していき、酒楼といった新しい娯楽の場所が出来ました。中でも一番有名な酒楼は「江山楼」で、外観が立派なだけではなく、芸者の演目を観るために文人たちもここに出入りしているほどでした。

しかし、酒楼の他に、ここには安い価格で大稲埕の中、下流層の男性たちを満たす娼婦たちが集まっていました。彼女たちの多くは暗い巷の中で私娼として生計を立てていましたが、その中で僅かな娼婦だけが大正 13～14 年間に建てられた文萌楼で許可を受けて、公娼として大稻埕の情と欲の流れに繋がれていました。

文萌楼の建物はバロック様式を真似たスタイルで、土と木と石とタイルで建てられた連棟式の二階建ての館の外壁には、当時流行っていた「国防タイル」と言われた黄緑色のタイルが貼られており、かなりおしゃれでした。

第二次世界大戦後、文萌楼は国のものとして納められ、台湾銀行が代わりに管理していました。国民政府は一度廃娼政策を掲げましたが、当時は娼妓の集落が形になっており、さらに台湾に入り混んだ未婚の軍人のニーズを考えて、代わりに「台北市娼妓管理法令」などの条例を制定し、文萌楼も甲級公娼館に指定されました。働く人数だけではなく、料金から施設内の配置まで規定されており、少しずつ産業を淘汰させることを目的としましたが、合法的な公娼たちの仕事を保証する効果があり、彼女たちは暴力団の脅威から守られ生計を立てることができました。

1997年、当時の台北市長陳水扁は議員たちからの要望に応え、48時間以内で公娼制度を廃止しましたが、公娼たちから強い反発を受けました。文萌楼もこの件をきっかけに廃娼反対運動センターになり、台湾の社会運動史に名を残しました。

2006年、文萌楼は台北市指定の古跡になり、さらに台湾で唯一保存することを指定された旧公娼館になりました。，リフォームを経て独特な歴史スタイルとともに、これからも台北の新しい世代の時々刻々を見守っていきます。